『跳びはねる思考』東田直樹著を読んで
ベビーシッター・個別訪問型保育研究家の参納(さんのう)です。
私は、大学時代に障害児教育を学んでおり、ベビーシッターとしても障害のある子どもたちと接してきました。
子どもたちと接する中で、気持ちに寄り添いたいと思うのですが、なかなか理解できないことが多々あります。
どうして、この行動ををとるのだろう?
どうしてあげたらいいのだろう?
そんな疑問に答えてくれる当事者の声を知ることができる本があります。
『跳びはねる思考』
重度の自閉症である東田さんがつづる自閉症のこと、「生きる」ということなどが書かれています。
自閉症の人がする行動の裏には、こういうことがあったんだ!
そういう気づきが多いとともに、哲学的な言葉も多く、人間としてのあり方を考えさせられるフレーズもありました。
東田 直樹さんのオフィシャルブログは、こちら
自閉症への理解
自閉症の方を理解するうえでのヒントとしての気づきが3つありました。
1.行動をコントロールすること
僕は行動を自分の意志でコントロールするのが難しいです。
そのために、気持ちに折り合いをつける必要があります。だから時間がかかるのです。(P47)
これは、インタビュー記事での東田さんの言葉です。
床に寝転がると、なまけている、やる気がないと思われるけれど、実は、椅子に座ろうと思っているけれど、時間がかかっているだけだとのこと。
自閉症の子どもたちを理解するうえで、「待つ」ということは、とても大切なことなんですね。
2.人としての触れ合いを望んでいる
僕の望みは、気持ちを代弁してくれる言葉かけと、人としての触れ合いだったと思います。
(P106)
東田さんが子どもの頃、泣いていると、お母さんが
「つらかったね」「悲しかったね」
と言ってよしよししながら抱きしめてくれたそうです。
泣きたいだけ泣けることを幸せだとつづっています。
これは、すべての人に言えることですよね。
共感することの大切さを改めて認識できました。
3.見え方の違い
本のなかに、こんな質問がありました。
なぜ、自閉症の人は、出会った人いうまくあいさつができないのか?(P213)
それに、東田さんは、こう答えています。
僕には、人が見えていないのです。人も風景の一部となって、僕の目に飛び込んでくるからです。
(略)
その時、一番関心のあるものに心を動かされます。(P213)
なるほど。
見えている世界が同じでも、入ってくる方法が異なるんですね。
ネットで調べてみると、こんな研究結果の記事がありました。
自閉症の人たちは顔や情景の中で「意味がある」物には目を向けず、それが社交場では難題になる傾向にある。 (記事より抜粋)
自閉症の人の脳の仕組みを知ることで、より理解できるようになりますよね。
さらに詳しく知りたい方は
東田さんの一番初めの著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」がおすすめです。
13歳のときに書かれたもので、今は30か国以上で翻訳され、世界的ベストセラーになっています
この本は、質問、そして回答。
というスタイルなので、とても読みやすいです。
誰かを理解しようと思ったとき、実は、自分のことをさらに理解することにつながっているのではないか、と思います。
この「自閉症の僕が跳びはねる理由」には、「2」があるので、それも読んでみたいと思います♪