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2018-02-19

気持ちを代弁するということ

ベビーシッター・個別訪問型保育研究家の参納(さんのう)です。

先日、約半年ぶりに3歳の男の子(Aくん)のシッティングに伺いました。

久しぶりでしたが、大歓迎してくれるAくん。

おしゃべりも、とっても上手になっていました。

成長を感じられるとき、本当にうれしいものなんです!!

ママとやりたい

ママをお見送りしたあと、新しいおもちゃをいろいろ見せてくれました。

ただ、しばらくして表情が暗くなったAくん。

そして、「パズルやろっか」と声掛けするも、

「ママとやる」との返事。

もしかして、ママがいなくて寂しいのかな、と思ったので、

「ママが行っちゃって、寂しくなっちゃったの?」

と聞きました。

すると、「うん」と頷き、「ママが行っちゃって、寂しくなったの」

と教えてくれました。

自分の今の気持ちを言葉にすることで、感情を改めて受け止めているようでした。

そして、その後は楽しく笑顔で遊べたのです。

感情にも名前がある

1,2歳は、「これ、なに?」といろいろな物の名前を聞いてきますよね。

そう、物に名前があることを知って、それを吸収しているんです。

この時期の吸収力は、すさまじく、うらやましい限りです。

 

名前があるものといえば、物以外に、感情や感覚にも名前がありますよね。

「電車」「パトカー」のようなものだと、絵や写真と一致させて、物の名前を覚えられます。

ですが、「悲しい」「ふわふわして気持ちいい」「かわいい」などの感情、感覚は、目に見えません。

これらの名前は、いったいどうやって覚えていくのでしょうか?

 

それは、大人が子どもの心を代弁して伝えることで、名前を知り、覚えていくのです。

今回、Aくんの寂しい気持ちを代弁しました。

それにより、この気持ちを「寂しい」と言うんだ、と知ったのです。

代弁するときのポイント

1、ぴったりの言葉で!

そのためには、子どもの気持ちをよく観察することが大切です。

少しの表情の変化、体の動きの変化などで、心の動きを推測することができます。

100%把握することが難しくても、どんな気持ちなのかを推測することはできますよね。

小さい子どもたちは素直なので、よく観察しているとわかるようになってきます。

そこで、その気持ちにぴったりの名前で代弁するのです。

 

わかりやすいのが、食べ物について。

大好きな卵焼きを食べて、にこにこしていたら「おいしいね」と声をかけますよね。

それで、「おいしい!」と覚えて、そういうときに「おいしい!」と表現するようになるのです。

一方、みかんを食べて身震いして、口をすぼめたら、すっぱいみかんだった可能性が高いですよね。

そこで、「すっぱかったかな」と声をかけます。

そうすることで、「すっぱい」を覚えていくんです。

2.ぴったりのタイミングで!

感じている、そのタイミングで代弁することが重要です。

例えば、ふわふわのぬいぐるみを触ったとします。

子どもは、気持ちよさそうな表情をしていました。

そのときに、「気持ちいいね」「ふわふわだね」と言うのと、

後から、「あのぬいぐるみ、ふわふわだったね」と言うのと、どちらが吸収しやすいと思いますか?

 

それは、断然、感じたその瞬間に代弁することのほうが、吸収していますよね。

後から言うことがいけない、というわけではありません。

感覚、感情の名前を知っていたら、思い出して話すことで共感していることになるのでいいと思います。

ただ、名前を知らないうちは、ぴったりのタイミングが重要、ということです。

自分の感情にも名前をつけてみる

子どもの気持ちを代弁するのと同じように、自分の感情にも、名前をつけて言葉にすることは、とっても有効なんです。

というのは、自分の感情を客観視できるからです。

人に嫌味を言われて、イラっとしたとします。

そのまま自動的に反応してたら、嫌味を言い返しているかもしれません。

もしくは、不機嫌そうな顔をしているかもしれません。

ですが、「イラっとしている」と名前を付けて心の中で言ってみるのです。

そうすると、自動的にしがちな行動をしなくなります。

イラっとすることが悪いわけではないのです。

気づいてあげることで、気持ちがやわらぐのです。

その感情を受け入れることで、自分を責めずにいられるのです。

ついでに、なぜイラっとしたのか?を考えると、さらに自分のことを知ることができます。

例えば、

「○○さんちって、ご飯のときに、テレビ見せながら食べてるんだって。それって、ダメだよね」

という会話にイラっとしたとします。

そこには「テレビ見せながら食べてもいいし、決めつけなくてもいいんじゃないの?」

「人のことをとやかく言う発言をするべきではない」

という自分の価値観があることが見えてきます。

そう、イラっとしたときには、何かしら自分の大切な価値観と違うときが多いのです。

それを知られたということは、いいチャンスでもあるのです。

ですので、時々、自分の気持ちも言葉にしてみてくださいね。

子どもと同じように、親御さんには、自分を大切にしてもらえたらな、と思っています。

 

 

 

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