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2019-05-17

医療的ケアが必要な子どものインクルージョンに向けて【保育学会自主シンポジウムに参加して】

こんにちは。
ベビーシッター・個別訪問型保育研究家の参納(さんのう)です。

5月3日、4日は、日本保育学会の第72回大会がありました。
GWの真っただ中でしたが、勉強したく、2日間参加してきました。

いくつか自主シンポジウムに参加してきたのですが、
『医療的ケアが必要な子どものインクルージョンに向けて』
に参加しての学びをまとめてみました。

医療的ケア児とは?

医療的ケア児とは、病気や障害で、たんの吸引や胃ろうなどの医療的ケアが必要な子どもたちのことです。

近年、医療の発達が進み、医療的ケア児が増えています。
厚生労働省調査(2017年度)では、1.8万人いるとされ、この10年で2倍に増加しています。

私が研究している訪問保育にも、医療的ケアの必要な子のお宅へ訪問し、保育を行うケースがあります。

居宅訪問型保育事業です。

それを担っている認定NPO法人フローレンスの障害児保育事業部 保育スーパーバイザーの森永さんが話題提供者として登壇されていました。

(左が、森永さん♪)

ちなみに、フローレンスさんが行われている居宅訪問型保育事業は、障害児訪問保育アニーと言います。

医療的ケアに使うもの

シンポジウムが始まる前に、医療的ケアで使用するもの、練習用の人形などを見せていただき、実際に体験もさせていただきました。

 

学んだ3つのこと

たくさん学びがあったのですが、そのなかの3点をシェアさせていただきます。

動く医療的ケア児

私は、この言葉をはじめて耳にしました。
なんと、医療的ケア児のうち、動く医療的ケア児が33%いるそうです。

こういう子どもたちが、保育園などで集団生活をしながら、育っていくことがさらに必要となっています。
ですが、なかなか、保育園で受け入れてもらえない、そんな現状があるからです。

それは、知らない、そして、そこからくる不安が大きな要因だと思います。

障害児訪問保育アニーでは、交流保育を積極的に取り入れられています。
この交流保育で、知り、子どもたち同士の交流のすばらしさを実感されているとのことでした。

そして、保育園に入園できるケースもあるそうです。

保育園で医療的ケア児を受け入れるために必要な5つのこと

今回、医療的ケア児を受け入れている「げんき夢こども園」の宮本園長からも話題提供がありました。
2018年度では、100名の園児のうち、6名の障害児が在籍されているとのことでした。

2010年から受け入れられている中で感じられた必要なこと5つが、とても参考になりました。

①看護者との協働
信頼関係、情報共有が大切

②感染予防の観点から集団免疫の確保
感染症にかかると命にかかわる可能性がある医療的ケア児。
そのため、園児には、予防接種を受けてもらうよう協力してもらっているそう。

③障害の程度を勘案した保育の提供
定期的な職員会議を持たれていたそうです。

④当該児の保護者の集団保育への理解
はじめは感謝されるが、そのうち理解が不足することもあるそうです。
そこで、安全に預かるために協力してもらうことは必須だとのことです。

⑤他の子ども、保護者の医療的ケア児への理解
医療的ケア児への配慮などを説明し、協力してもらうことが重要

いろいろ配慮事項があるんだな、と思いました。
ですが、できないことはないんだ、ということの証明でもあります。

少しずつ、医療的ケア児が保育園で生活することが当たり前になっていってほしいと思います。

医療的ケア児を持つ親

医療的ケア児を持つ親は、自責の念から育児ではなく介護という視点が強い、とのこと。

誰のせいでもないんだけれども、お母さんは、健康に産んであげられなかったと自分を責めてしまうようです。
ですので、献身的にケアをする。
だから、育児の楽しさを感じられないことが多いそうです。

なんとも、悲しいことですよね。
そのために、レスパイト(一時預かり)が重要となってきます。

重度の医療的ケア児の場合、家からレスパイト先までの移動がかなり大変になるそうです。
それは、人工呼吸器などの必要な器具がたくさんあるからです。

ですが、レスパイトは、母親だけでなく、父親、医療的ケア児の兄弟にとっても、とても重要なものだそうです。

まとめ

すべての子どもが保育、教育を受ける権利を持っています。
そのことを忘れてはいけないと改めて思いました。

実現に向けては、まず、医療的ケアの必要な子どもたちのことを知ることが第一歩ではないでしょうか?
されに、身近に接する機会を持つこと。

私自身、大学で障害児教育を学びましたのが、実習先で、ベットに寝て、チューブをたくさんつけている子を見たとき、衝撃を受けたことを覚えています。

初めて出逢ったわけです。

ですが、子どもの頃から身近に関われる環境があると、どうでしょう?
何も違和感を抱きませんよね。

いろいろな人と接することは、子どもたちにとって、本当に大切なことだな、と思いました。

実際、私に何ができるのか、すぐに思いつきませんが、医療的ケア児のことをもっと知りたいと思います。

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