赤ちゃんポスト 運用10年に思うこと
今日10日で、熊本市にある「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」が
運用からスタートを迎えたそうです。
10年間で託された命は、125名。
市の検証報告書によると、125人は、生後1カ月未満の新生児104人、1年未満の乳児14人、1年以上の幼児7人の男女。父母らの居住地は、北海道1人、東北3人、関東22人、中部11人、近畿10人、中国8人、四国1人、九州39人、国外1人、不明29人。預け入れは近年、年10人程度で推移し、虐待が疑われるケースはなかったが、29人は治療が必要だった。
預けた理由(複数回答)は多い順に「生活困窮」32件、「未婚」27件、「世間体・戸籍」24件など。母親の年齢では20代が36%と最も多い。30代が約22%と続き、10代も12%と少なくない。
預け入れ後の行き先は、13年度末時点の101人の調査で、乳児院など施設30人、特別養子縁組29人、里親19人、元の家庭18人、その他5人だった。
(日経新聞)
正直、私には、計り知れないことのように思えてなりません。
思考がフリーズしてしまうくらいです。
しかし、命を守る、という観点から見た場合、どんな状況であれ、
この世に命を届けてくれたということ、ありがたく感じるのです。
批判的な声も
「ゆりかご」のせいで、簡単に子どもを捨てるようになるのではないかという声もあります。
実際、自分の幸せを優先させるために利用した人もいるそうです。
ですが、私は、わざわざ熊本まで来るなんて、なんとか守りたい親の愛だったと
思うのです。
真実は、親の心の中にしかありません。
ですが、そうだと思いたいだけかもしれません。
また、匿名で利用できるため、産みの親のことを知る権利を奪われてしまいかねない、
という批判の声にも切なさを覚えます。
命が助かっても、心が救われない。
特別養子縁組先で、大切に育てられている子が、
「ゆりかご」に預けられたことを伝えると、
「おれ、なんで捨てられたの?
いらなかったの?」
そう言ってきたそうです。
この言葉、胸をえぐられるような思いがします。
なぜ、預けられたのかわからないまま、
自分は、存在価値がない、必要のない人間なのではないか、という
無価値感にさいなまれ、常に戦わないといけなくなるかもしれません。
生きてるだけで、丸儲け
私が、この「こうのとりのゆりかご」について思うことは、
これに関わっている方に、感謝と尊敬しかありません。
心に様々な葛藤が生まれるかもしれません。
それだって、命あってのこと。
私は、明石家 さんまさんの「生きてるだけで、丸儲け」という
言葉が好きです。
ほんとにそうだな~と思うのです。
いろんな家族のカタチがあってもいいじゃない
「ゆりかご」に預けられた子、特別養子縁組をした子は
本当の親に捨てられてかわいそう。
そう思わせているのは、社会構造、概念なのではないでしょうか。
産みの親だけではなく、育ての親がいることだって、特に不自然ではない。
そんな風に思える時代が来るといいな~。
いつの時代もマイノリティを排除しようとするというか、
区別したがるんですよね。
そこに人間の弱さが存在する気がするのですが、
乗り越える力も備えているのが人間だと思うのです。
子どもたちには、そんな弱さを受け入れ、乗り越えようとする力を
身につけてもらいたいな、と改めて考えました。
そして、望まない妊娠をしないように、
子どもたちと命の話をたくさんしたいな、と思いました。