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2019-05-30

『反省させると犯罪者になります』岡本茂樹著 ~書評~

こんにちは。
ベビーシッター・個別訪問型保育研究家の参納(さんのう)です。

前回、『ほめると子どもはダメになる』榎本博明著をご紹介しました。

書評『ほめると子どもはダメになる』榎本博明著

このタイトルもセンセーショナルでしたが、それと同じくらいセンセーショナルなタイトルですよね。

反省させると犯罪者になります』岡本茂樹著

実は、センセーショナルシリーズ、もう1冊あるんです。
『いい子に育てると犯罪者になります』岡本茂樹著

こちらも、改めてご紹介したいと思います。

説得力が半端ない

著者の岡本さんは、臨床教育学博士で、刑務所での累犯受刑者の更生支援にも関わるというご経歴をお持ちです。

人が本当に反省するとき

何をもって、反省したと判断する?

子どもが、悪いことをしたとします。
どこを見て、反省できたと判断しますか?

例えば、お友達をたたいた子がいるとします。
大人は、この子に「ごめんなさい」と言わせようとします。

よくみかける光景ですよね。

つまり、「ごめんなさい」と言ったり、反省文を書いたりすることが反省している証拠と思っているのです。

しかし、これは、上辺だけの「反省の言葉」でしかないのです。

ですが、上辺だけの行動であっても、大人は許してくれるのです。
そうなると、「悪いことをしたら、謝ればいい」と何事も軽く物事をとらえるようになります。
そして、悪いことを繰り返します。

本当の反省とは

誰かに教えられたのではなく、自分自身が内面と向き合った結果として、自然と心の底から湧き上がってくる「罪の意識」こそ本当の「反省」なのです。

 

違法行為がばれてしまったとき、人は最初に浮かんでくる思いや感情は、たいてい「後悔」
悪いことをしてばれたときの人間の心理は、反省とはほど遠いのです。

また、できるだけ罰を受けたくないと思います。
受けるとしても、できるだけ軽いものであってほしい、と思うのは人間の本能なのです。

誰でも、罰はいやですよね。

脳は、嫌なことから逃げようとする性質があるそうなので、非常に当たり前の反応かもしれません。

そう考えると、反省させることが、無意味であることは、歴然としています。

問題行動の捉え方

問題行動とは「自己表現」の一つ

問題行動とは、ヘルプの信号です。

私もそう思います。
まさに、これは、子どもにも大人にも当てはまると思います。

例えば、万引き。
これも、ヘルプの信号なのです。
ですが、ここで、反省文を書かせると、万引きをした要因、想いが解消されません。
もしかすると、いつも、頑張りなさい、と言われ続け、苦しんでいた気持ちが爆発したもかもしれません。

そうであったとしたら、自分のしんどさを受け止めてくれなかった、理解してくれなかった親への憎しみがさらに増すことになるでしょう。

そして、問題行動がエスカレートしていくのです。

ですので、どんなことでも、それをした理由、背景にあるものに目を向けることが大切だと思います。

これは、未就学児の子どもたちも同じです。
いつも、乱暴な子。
どうして、お友達をたたいたり、けったりするのでしょうか?

たたいたら、とりあえず「ごめんね」と言わせることをさせがちですが、それでは、解決に至っていないということです。

どうして、たたいたり、けったりするのか?
もしかすると、親にたたかれたり、けられたりしているのかもしれません。
自分の言いたいことがあるのに、言葉でうまく伝えられず、たたいてしまうのかもしれません。
もっと、愛してほしい、見てほしいと周囲の注目を集めるためにたたいているのかもしれません。

問題だと感じる行動があったら、まずその子に気持ちを理解することが大切です。
すぐに見つからないことも多々あります。
しかし、理解しようとすることが最初の一歩だと思います。

ありのままの自分

犯罪を犯す人たちは、生きづらさを抱えていることが多いそうです。

再犯しないためには、「二度と事件を起こしません」と固い決意をすることよりも(固い決意も必要ですが)、何より人に頼って生きていく生き方を身につけることです。

二度と犯罪を起こさないためには、人に頼って生きることが大切なのだとか。

人に頼るためには、できない自分を受け入れなくてはなりません。
できない、だめな、ありのままの自分を表現することは、他社との間でよい人間関係を築くことができるそうです。

ありのままの自分でいいんだ、と思えていますか?
自分にダメ出しばかりして、なんとかうまくやろうとしていませんか?

「ありのままの自分」でいいと思える子どもになってもらいたいと思うのなら、親が「ありのままの自分」でいればいいのです。

疲れて、夕飯を作れなくて、自分を責めて苦しんでいる親を見ると、どんなに疲れていても頑張らなくちゃいけない、と思うでしょう。

大人が、自分の気持ちに耳をすましていくことが、子どもたちに「ありのままでいいんだよ」と伝えることにもなるのではないかと思いました。

まとめ

「反省」ということを改めて考えさせられる一冊でした。

「ごめんなさい」と言わせるよりも、「どうしてしたの?」と理由を聞いて、一緒に解決していくことが何よりも大切だと思いました。

「我慢できること」「一人で頑張ること」「弱音を吐かないこと」「人に迷惑をかけないこと」という価値観は社会生活を送るうえで必要なことです。しかし生き辛さを与える側面を持っている。

と書かれていました。
本当にそうだな、と思ったのです。

何が正しくて、何が間違っているかなんて、きれいに線引きすることができないと思うのです。
ときには、我慢せずに、人に頼ることが必要になることもあるんですよね。

 

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